アッバス・キアロスタミ『オリーブの林をぬけて』をめぐって
出演者たちを見渡しても、職業俳優などほぼいない。 「らしさ』を極力排除した世界であり、 それはどの映画においても共通しているのだ。 ナチュラルなところが徹底された映画に、 虚構性さえ見いだすのがだんだん難しくなってくる。 がしかし、それこそは映画の魔法であり 素人たちを上手に操ること、彼らをうまく映画空間に引き入れるマジックの先に、 キアロスタミ自身が化学反応を伺っているようにも思えてくる そんな映画づくりを体験させられるのである。
出演者たちを見渡しても、職業俳優などほぼいない。 「らしさ』を極力排除した世界であり、 それはどの映画においても共通しているのだ。 ナチュラルなところが徹底された映画に、 虚構性さえ見いだすのがだんだん難しくなってくる。 がしかし、それこそは映画の魔法であり 素人たちを上手に操ること、彼らをうまく映画空間に引き入れるマジックの先に、 キアロスタミ自身が化学反応を伺っているようにも思えてくる そんな映画づくりを体験させられるのである。
なんといっていいのか、こんな映画があるのだという思い。 それも全く意識していなかったイランからの贈り物。 イランという国が急に身近になった。 キアロスタミはそれ以後、巨匠の風格を醸し 我が国でもそのスタイルに魅せられ、多くの人に支持された監督である。 残念ながら、3年前の2016年にすでに他界しているが その残された作品は今尚みずみずしい輝きに満ちている。 キアロスタミでなければ撮れない映画ばかりが 燦然と残されている。