南佳孝

音楽

坂本龍一を偲んで

坂本龍一が歩いたフィールドの広さ、 そしてその量、奥行きの前に立ち尽くすと どこから、どう入っていけばいいのか、 正直、考えているうちに時間だけが過ぎてゆく。 それほどまでに膨大で、広い。 冷静に、振り返ってみると、その仕事量のなかで、 教授のアレンジャーとしての才能、そして器、 数々のその輝ける功績、足取りを、追ってみることが まずは坂本龍一という人を理解するに、もっとも近いのかもしれないと思い立つ。 あえて、裏方業ともいうべき地味な編曲者・アレンジャー坂本龍一として その偉大なる軌跡に寄り添ってみる、 その思いを追悼の思いとして、遅ればせながら書いてみたい。

Elle est retrouvée ! Quoi ? l’éternité. C’est la mer mêlée    Au soleil.文学・作家・本

文学と音楽をめぐる調べ(前半)

本はいつだって、我々にもミュージシャンにも、 インスピレーションの源であり続ける。 中には、自分で文学作品を書くミュージシャンだっているし、 その詞の世界は文学以上に難解である場合もある。 音と言葉の共鳴と共存。それが文学という名の洗礼を浴びて、 よりいっそう豊かに響くのだ。 そうした側面を吟味しながら音楽を聞けば、 また違った音楽の魅力にたどり着けるかもしれない。

タエコの朝食 池田満寿夫アート・デザイン・写真

池田満寿夫という画家

池田満寿夫という人は実に奔放というか 無邪気というか、様々なアーティストからの影響を素直に受け、 どこまでも確信犯的にそのスタイルを取り込んできた。 もっとも影響をうけたのはピカソであろう。 それは初期の版画作品にも如実に表れているが そのほか、ヴォルスやミロ、デクーニングやマチス カンディンスキーにウォーホールといった 豊かな線や色彩の魔術師たちの影響を次々にわがものにしながら ひたすら貪欲に世界を開拓していった人である。