NO SMOKING

佐渡岳利 2019 NO SMOKING映画・俳優

佐渡岳利 『NO SMOKING』をめぐって

「音楽とは、風景のようなものだと思う」と、細野晴臣はどこかで語っていた。 それはおそらく、時間を切り取って情熱的に表現するものではなく、 ただそこに在り、耳にふと触れ、気づけば心に棲みついているような存在。 その活動50周年を記念して制作された 佐渡岳利によるドキュメンタリー映画『NO SMOKING』では、 そんな彼の音楽と人生を、まるで柔らかな風がページをめくるように、 静かに辿ってゆく。 観終えたとき、私たちの中に残るのは、かならずしも伝説や栄光ではない。 むしろ“人としての細野晴臣”、そのゆるやかで、しなやかで、 ふしぎに温かな「空気感」が漂ってくる。

文学・作家・本

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.43 季節の終わりの音めぐり寄稿

まだ、暑さが周りに居座っているうちに、この企画を立ち上げておこうと思う。 コラムは、別段、夏という季節に固執するわけでもないが、 音楽は一年中、あるものでありながらも 季節の移ろいにも敏感であり、その影響を受けないではいられない。 夏真っ盛りよりも、すこし陰を帯びた、 失いゆく夏の終わりの時間の方にそそれらる身としては、 そんな思いに乗じて、音楽について、いつものように、ダラダラと 今のぼくのアンテナ、好みに従って刻印しておこうと思う。