アニエス・ヴァルダ『落穂拾い』をめぐって
ヴァルダの『落穂拾い』は、19世紀の絵画の静けさを、 21世紀のドキュメンタリーという運動に置き換えた作品である。 彼女はデジタルカメラを手に、農村から都市へ 軽さを纏ってフランス各地を旅することになる。 畑で拾われぬまま腐っていく山積みのジャガイモ、 あるいは、市場に捨てられた野菜や果物、 都市の廃棄物の山を掘り返す人々に、カメラは寄り添う事になる。 ヴァルダはその現実を、糾弾ではなく、淡々と、しかし深く見つめる。 それは捨てられたものを通し、真理を探すことなのだ。