塚本晋也『双生児ーGEMINIー』を視る
江戸川乱歩の短編「双生児」は 〜ある死刑囚が教誨師にうちあけた話〜、とあるように、 死刑囚である語り手の“私”の告白が ある種、後戻りのできない自己の牢獄としての種明かしに従事し まさに、乱歩の真髄である語ることを通して死に臨む。 そんな告白に読者が迷宮へと導かれる文学性に終始している。 その一方で、サスペンス、ホラー、幻想譚の境界を曖昧にしながら、 「自己と他者」「理性と本能」「愛と憎しみ」といった 二項対立を映像と物語の両面からえぐり出す、 異様にして耽美な作品が、改めて再構築されたのが 塚本晋也の映画『双生児 -GEMINI-』である。