ENO

『ENO』 2025 ギャリー・ハストウィット映画・俳優

ゲイリー・ハストウィット『Eno』をめぐって

ブライアン・イーノのドキュメンタリー『Eno』 この映画の宣伝句は“毎回ちがう”だ。 Brain One(ブライアンとかけてる?)という自動編集が、 二度と同じ並びにならない映像を繰り出すという。 仕掛けとしては見事だし、確かに斬新だ。 ぼくはこの“何がでるかな?”に釣られて映画館へ向かったのである。 けれど、いざスクリーンの前に座ると、掴んだ核はそこではなかった。 変わるのは編集、変わらないのはイーノ本人の場の力。 笑う時の目尻、言い淀みの間合い、機材に手を伸ばす前の気配。 その生の温度が、編集の妙よりも長く残った。

文学・作家・本

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.43 季節の終わりの音めぐり寄稿

まだ、暑さが周りに居座っているうちに、この企画を立ち上げておこうと思う。 コラムは、別段、夏という季節に固執するわけでもないが、 音楽は一年中、あるものでありながらも 季節の移ろいにも敏感であり、その影響を受けないではいられない。 夏真っ盛りよりも、すこし陰を帯びた、 失いゆく夏の終わりの時間の方にそそれらる身としては、 そんな思いに乗じて、音楽について、いつものように、ダラダラと 今のぼくのアンテナ、好みに従って刻印しておこうと思う。