サミュエル・フラー『ショック集団』をめぐって
映画は事件をめぐる人間たちによる群像劇といえるが ショーケンと小柳との夫婦間のいざこざと愛憎をはじめ、 そこに絡むすれてない子供たちとの情感。 (ちなみに、娘役の香織は高橋かおりの子役デビューである!) また、誘拐された家族、秋吉久美子と岡本富士太夫婦と 警察組織の焦燥感の攻防。 冒頭で新聞社の部長丹波哲郎が歌うカラオケ「ダンシングオールナイト」や ショーケンとの昔馴染みという設定の女池波志乃との情事、 あるいはヘリを操作する菅原文太の登場、 若手の記者宅麻伸と恋人役の藤谷美和子の関係性などなど、 それらが果たして必要なシーンだったかどうかはさておくとしても、 救出までのサスペンスには、ノスタルジックな情緒を感じながら もっと肩の力を抜けよ、などとは到底いえないようなリアルな空気感に満ち 追い詰められた人間たちの、切迫感がヒリヒリと感じられる映画だった。