アンリ=ジョルジュ・クルーゾー『囚われの女』をめぐって
映画のタイトルは『囚われの女』。 アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの遺作である。 いったい、女はなにに囚われているというのか? 見終わった直後に、すぐには答えられない。 が、確かにおかしな女である。 こどもっぽさと女としての可愛らしさを同居させながらも、 なぜだか一人空回りばかりしている情緒不安定な女だ。 奇妙といえば、映画そのものが奇妙なまでに、視覚の刺激に満ち満ちており、 まずはそこに囚われることで、われわれも何かに囚われ 最後まで救いなき運命を辿る女ジョゼにつきあうことになる。