増村保造『赤い天使』をめぐって
文字通り若尾文子扮する西さくらこそが「赤い天使」なのであるが、 彼女の場合は、ただ単に負傷兵の介護という枠に収まらず、 負傷した兵士の命をつなぎとめるために 手足を切断する際には、暴れ発狂する患者を抑える役回りはもちろん 挙げ句には、性的な処理までこなさねばならない。 おいおい、いやはややれやれである。 天使家業はラクではないのだ。 まさに身体を張ったその使命感には頭が下がる。 が、この映画が単に反戦映画の枠を超えている部分であり、 それを折れずに遂行する強さがどこまでも美しい。