篠原とおる

0課の女 赤い手錠 1974 野田幸男映画・俳優

野田幸男『0課の女 赤い手錠』をめぐって

赤い手帳に、赤い拳銃、そして長い鎖付きの赤い手錠(ワッパ)、 赤、赤、赤のオンパレード。 まさに劇画の世界である。 赤いドレスを纏って、男の欲望の前におもちゃにされても 決して取り乱さない真っ赤な唇の女デカ、杉本美樹こと0課の女澪(みお)。 そんな女刑事、いるわけないっしょ? と言われてもしょうがないくらい、この漫画のような世界の女だ。 それもそのはずで、あの篠原とおる原作の劇画からの映画化だから といってしまえばまかり通る。 そう、あの『女囚さそり』シリーズを描いた人といえば、なるほど と思う人コアなファンもいるかもしれない。 脚本も『女囚さそり』と同じく神波史男&松田寛夫のコンビ。 監督は『不良番長シリーズ』で名を馳せた野田幸男だ。

梶芽衣子映画・俳優

梶芽衣子スタイル「さそりシリーズ」の場合

さて、これは実に壮絶な女の世界である。 しかも女囚とくる。 設定が多少前時代的なのはご愛嬌。 実に血なまぐさい女臭が半端なく漂うが、 可憐だの可愛いだのそんな甘っちょろい少女趣味は微塵もない。 あくまでも男顔負けのどす黒い情念と権力志向で爛々としている。 それにしても、まるで漫画のような世界である。 ありえないような世界の連続である。 B級にもほどがある。 だが、これが映画なのだ。