岸善幸『正欲』をめぐって
原作朝井リョウによる岸善幸の映画『正欲』では 5人の登場人物が「なにをもって正解とすべきか」「マイノリティとは何か?」 といういかにも現代社会が抱える問いをめぐって 複数の視点が静かに交差する群像劇を描いた映画になっている。 ここには声高に何かを訴えたり、観客の感情を煽るような派手な演出はなく、 それなのに、観終わったあとには、胸の奥に何かがずっと残る。 何が正しくて、何が間違っているのか? その問いを、言葉ではなく映像と沈黙で投げかけてくる。
原作朝井リョウによる岸善幸の映画『正欲』では 5人の登場人物が「なにをもって正解とすべきか」「マイノリティとは何か?」 といういかにも現代社会が抱える問いをめぐって 複数の視点が静かに交差する群像劇を描いた映画になっている。 ここには声高に何かを訴えたり、観客の感情を煽るような派手な演出はなく、 それなのに、観終わったあとには、胸の奥に何かがずっと残る。 何が正しくて、何が間違っているのか? その問いを、言葉ではなく映像と沈黙で投げかけてくる。
入江悠の映画『あんのこと』を観たとき、 街を彷徨う一人の女の子の後ろ姿に言い知れぬ孤独を感じた。 シャブ、売春、不登校、彼女の闇はことのほか深い。 ぼくはその“誰か”の視点でこの映画を受け止めたいと思った。 それはヴェンダースの『ベルリン・天使の詩』のような、 誰にも知られず、触れられず、完全な他者として ただ見つめることしかできない天使の視座として、 あんという女の子を見届けようと思った。 でも結局、ぼくらは何もできないということを知るだけである。 この世界では、それは絶望という言葉に置き換えられる