三宅唱『夜明けのすべて』をめぐって
原作は未読だが、瀬尾まいこ『夜明けのすべて』、小説の映画化である。 NHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」で夫婦を演じた二人、 松村北斗と上白石萌音による主人公の男女山添孝俊と藤沢美紗は、 それぞれパニック障害とPMS(月経前症候群)を抱えている。 内容は、心の奥底に秘めた「生きづらさ」とどう向き合うか、 対人との向き合い方や、コミュニケーションのとり方についての 深い考察映画とも言えるだろうか。 そんな二人が、とある職場で出会い、絡んで、 いったいどんな物語が語られるというのか?というと そこにとくに事件性のようなものもなく、 定番の恋愛絡みのストーリー、というわけでもない。 お互い感情におぼれることなく、かといって、 よそよそしくならず、ぎこちなさを避けるように、 その境界線を、うまく練り歩きながら描いている点に共感を覚える映画だった。