岸善幸『正欲』をめぐって
原作朝井リョウによる岸善幸の映画『正欲』では 5人の登場人物が「なにをもって正解とすべきか」「マイノリティとは何か?」 といういかにも現代社会が抱える問いをめぐって 複数の視点が静かに交差する群像劇を描いた映画になっている。 ここには声高に何かを訴えたり、観客の感情を煽るような派手な演出はなく、 それなのに、観終わったあとには、胸の奥に何かがずっと残る。 何が正しくて、何が間違っているのか? その問いを、言葉ではなく映像と沈黙で投げかけてくる。
原作朝井リョウによる岸善幸の映画『正欲』では 5人の登場人物が「なにをもって正解とすべきか」「マイノリティとは何か?」 といういかにも現代社会が抱える問いをめぐって 複数の視点が静かに交差する群像劇を描いた映画になっている。 ここには声高に何かを訴えたり、観客の感情を煽るような派手な演出はなく、 それなのに、観終わったあとには、胸の奥に何かがずっと残る。 何が正しくて、何が間違っているのか? その問いを、言葉ではなく映像と沈黙で投げかけてくる。
水というのは、不思議な物質だな、と思う。 透明で、無色で、流れて、1滴でも大量でも中身は変わらない。 だが時に人や街さえ飲み込む力がある。 それは集合化した水のもつ脅威というよりも 日常の奥深くに宿るひとつの魔力なのかもしれない。 一見、静かにそのブルーを基調にしたトーンの室内、 あるいは衣装、水を通して淡々と繰り広げられる家族の群像劇、 荻上直子による『波紋』を観終わったあと、 なぜだか水についてぼんやり考えてしまうのだ。 ああ、こんなにも何気ない水が、 情熱を帯び、人の生活を揺さぶるものだったのか、と。