森田芳光

39 刑法第三十九条 1999 森田芳光映画・俳優

森田芳光『39 刑法第三十九条』をめぐって

ここに森田芳光による「39 刑法第三十九条」という映画がある。 とある猟奇的殺人事件に関し、逮捕された劇団員の加害者に対し、 途中までは、解離性同一性障害(いわゆる多重人格)をめぐって 詐病か否かを裁くベクトルの事件であったのだが、 最後には大どんでん返しが待ち受けるサスペンスとして、 あるいはヒューマンドラマとして、そのクオリティは高い。 こういうケースが、いつなんどき自分の身に降りかかってこないとは限らない事件として、 その意味では、法とは何か? いったい人間の尊厳とは何か?  最後にはそう言ったことに向き合わざるを得なくなるようなテーマでもある。

家族ゲーム 1983 森田芳光映画・俳優

森田芳光『家族ゲーム』をめぐって

正直なところ、森田芳光作品には 昔からまず好んで食指は動かないタイプなのだが 『家族ゲーム』の斬新な演出、そしてムードには 初めてみたときから刺激的で、 記憶から離れがたい確かな映画的感動をもらっている。 まさに、時代の空気と共に生きてきた人間を感心させるだけの説得力と 奇妙な共犯関係があり、 いわずとしれた共感が随所に盛り込まれている気がして 今尚実に刺激的であり、森田芳光自身を評価するに 十分な一本なのである。