東京ステーションギャラリー

「宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」(東京ステーションギャラリー)アート・デザイン・写真

「宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」のあとに

東京ステーションギャラリーでの 『生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った』展を観てきたのだが、 予想以上に見応えのある素敵な展覧会だった。 東京ステーションギャラリーならではの渋いチョイスといえる。 むき出しの煉瓦がいかにも手作業の工芸にフィットする。 それを加味して、タイムリーな展覧会だった。 アップリケというと、子どものときに、 お母さんが子供服に動物や花なんかを縫い付けたりするものだから どこか可愛いイメージがあるのだが、 宮脇綾子という人の場合は、母親目線というよりは主婦目線。 野菜や魚といった日常の食材や自然からモティーフを得てフォルムを決定し 趣のある着物地なんかを使って彩ってゆく作家である。 本人の言葉を引用すれば、観察者の視点を素直に反映する。 まずはそこからだ。

ジャン=ミッシェル・フォロン 《無題》アート・デザイン・写真

ジャン=ミッシェル・フォロン『空想旅行案内人』展のあとに

この展覧会では、こちらベルギーの画家、ジャン=ミッシェル・フォロンの世界が 記号が単に道標ではなく、夢の風向きを指し示していたのを確認できる。 目的地のない旅、目的さえ失って、なおも進みつづける旅人にとっての道標。 きっと、この展覧会に足を運ぶ人であり、私自身さえも誘われる先にあるもの、 個々思いは違えど、人類全体で進むべき道は共通だ。 フォロンの世界の魅力はそんなところにある。