山田太一『岸辺のアルバム』をめぐって
むろん、ドラマならなんでもいいというわけではない。 こちらは、今から半世紀も前のテレビドラマだというのに、 なぜか、どこかで見た風景が映し出されていて、なにかと心に刺さる。 じつに近しく、内容は実に骨太である。 のちに流行るトレンディドラマと呼ばれるものとは一線を画す内容の、 脚本家山田太一の傑作『岸辺のアルバム』という作品について触れてみよう。
むろん、ドラマならなんでもいいというわけではない。 こちらは、今から半世紀も前のテレビドラマだというのに、 なぜか、どこかで見た風景が映し出されていて、なにかと心に刺さる。 じつに近しく、内容は実に骨太である。 のちに流行るトレンディドラマと呼ばれるものとは一線を画す内容の、 脚本家山田太一の傑作『岸辺のアルバム』という作品について触れてみよう。
ここに森田芳光による「39 刑法第三十九条」という映画がある。 とある猟奇的殺人事件に関し、逮捕された劇団員の加害者に対し、 途中までは、解離性同一性障害(いわゆる多重人格)をめぐって 詐病か否かを裁くベクトルの事件であったのだが、 最後には大どんでん返しが待ち受けるサスペンスとして、 あるいはヒューマンドラマとして、そのクオリティは高い。 こういうケースが、いつなんどき自分の身に降りかかってこないとは限らない事件として、 その意味では、法とは何か? いったい人間の尊厳とは何か? 最後にはそう言ったことに向き合わざるを得なくなるようなテーマでもある。