囚われの女

囚われの女 1968 アンリ=ジョルジュ・クルーゾーアート・デザイン・写真

アンリ=ジョルジュ・クルーゾー『囚われの女』をめぐって

映画のタイトルは『囚われの女』。 アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの遺作である。 いったい、女はなにに囚われているというのか? 見終わった直後に、すぐには答えられない。 が、確かにおかしな女である。 こどもっぽさと女としての可愛らしさを同居させながらも、 なぜだか一人空回りばかりしている情緒不安定な女だ。 奇妙といえば、映画そのものが奇妙なまでに、視覚の刺激に満ち満ちており、 まずはそこに囚われることで、われわれも何かに囚われ 最後まで救いなき運命を辿る女ジョゼにつきあうことになる。

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.39 終活への旅路、遺作映画特集映画・俳優

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.39 終活への旅路、遺作映画特集

最近では、若い人たちの訃報もちょこちょこ耳に入ってくるし 年齢はこの際関係ないのかもしれないが、 「霊界通信」のスヴェーデンボリのように、あの世と通底でもして 自分の死に際がいつなのかを事前に知っていればいいのだが、 かくいう僕自身も、あとどのくらいこの世の地を踏めるのだろう、 そんなことをよぎる年齢になってきた。 ある程度は覚悟というか、 準備というか、日々そんな思いを静かに抱えながら しっかり芽生え出している自らの人生の枝先をじっと見つめているのだ。