吉田大八

美しい星 2017 吉田大八文学・作家・本

吉田大八『美しい星』を視る

かねてから、この三島の異端の寓話に惹かれていたという、 吉田大八監督が2017年に映像化したこの作品は、 原作が抱えていた“思想の空白”に、 「エンタメSF」という軽やかな皮を被せてながら、 一篇の不思議な寓話として新たに再生させた。 ここでは、原作と映画のあいだに潜む“三島由紀夫の亡霊”を、 そっと呼び出すとすれば、、 登場人物たちが見上げる空の意味も、UFOに乗り込んだ大杉の思いも どこかで共鳴するに値するものだと思えるかもしれない。

桐島、部活やめるってよ 2012 吉田大八映画・俳優

吉田大八『桐島、部活やめるってよ』をめぐって 

『桐島、部活やめるってよ』が同世代共感の範疇超え 幅広い層に訴えかけうる映画になっているのはまさにその一点である。 いみじくも宏樹自身の言葉 「出来るヤツは何でもできるし出来ないヤツは何にもできないって話だろ」 そうしたプレッシャーや呪縛からの解放であり、 周りの目や、相対関係の綾から真に自由に生きるには、 好きな事を突き詰めるしかない、という これまたシンプルな説得力を伴った事実しないのだと。 そうした力を、映画オタクやスポーツバカを通して映画を推進することで 痛みやいびつさを浮かび上がらせる青春映画であるところに、 この映画の非凡な可能性を感じるのだ。