北陸代理戦争

『北陸代理戦争』1977 深作欣二映画・俳優

深作欣二『北陸代理戦争』をめぐって

両親共々、富山県人で、 僕自身、小さい頃から北陸には何かと縁があり 新幹線よりもなにより“雷鳥(現サンダーバード)”によく乗った記憶が先立ち、 あの北陸なまり、独特の富山弁にも随分愛着があって それらの印象が今なお皮膚感覚でしみこんでいる。 いうなれば、ルーツともいえる地、それが北陸だ。 だが、越中強盗、加賀乞食、越前詐欺師。 これが俗に言う北陸人の気質らしい。 そんな物騒なことは、これまで微塵も感じたことはなかったが、 深作欣二の『北陸代理戦争』での幕切れとともに流れる 「共通しているのは生きるためにはなりふり構わず、手段を選ばぬ特有のしぶとさである」というナレーションに聞こえてくるように、 そういうところがあるのかもしれない。 そのあたりの考察をふまえて、映画を語ってみよう。

鉄砲玉の美学 1973 中島貞夫映画・俳優

渡瀬恒彦スタイル

中島貞夫や深作欣二といった東映アクションものを リードしてきた大御所たちの作品で その存在感を遺憾無く示し「恒さん」として 常に現場で上からも下からも一目置かれていたというこの俳優が そこまでに至った過程を 事細かく調べたわけでも見てきたわけでもないが、 『鉄砲玉の美学』『狂った野獣』、 あるいは『暴走パニック大激走』での熱を帯びた演技を見せられれば 確実に、映画のバイアスを担って アクションの主導を握ってきたのもうなづけよう。