黒澤明『隠し砦の三悪人』をめぐって
しかし、そこには黒澤流のテーマパークならぬ 様々なエンターテイメントの導線が張られている。 笑わぬ姫でさえ嬉々と踊る火祭りなどはその最たるものだが、 そこは細々した説明を省くとして、 絶えず、的確な判断と勇敢な行動力を駆使して 一行を力強く先導するアニキ六郎太に、 「右といえば左左といえば右」と言うわがままかつ手に負えぬがゆえに オシとして同行させることになった姫の視座こそが 物語の表のベクトルを提示している。 つまりは、潔さであり、一貫性であり、正義そのものである。