リスボン特急

リスボン特急 1972 ジャン=ピエール・メルヴィル文学・作家・本

ジャン=ピエール・メルヴィル『リスボン特急』をめぐって

傑作『サムライ』を覆う渋いブルーを彷彿とさせるかのように この『リスボン特急』のオープニングの銀行襲撃の際にも その同じ気配を漂わせるこのメルヴィルブルーのただならぬ気配に、 この映画もまた、遺作にして傑作へと導びかれるのか、と期待に胸を膨らませるも、 残念ながら、この映画はそれまでのメルヴィルらしいキレが不足していることに 次第にトーンダウンしてゆく。 ある種の失望を覚えながらも、こうして追悼の意を示すが如く 諦観せざるをえない思いから綴っている。

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.39 終活への旅路、遺作映画特集映画・俳優

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.39 終活への旅路、遺作映画特集

最近では、若い人たちの訃報もちょこちょこ耳に入ってくるし 年齢はこの際関係ないのかもしれないが、 「霊界通信」のスヴェーデンボリのように、あの世と通底でもして 自分の死に際がいつなのかを事前に知っていればいいのだが、 かくいう僕自身も、あとどのくらいこの世の地を踏めるのだろう、 そんなことをよぎる年齢になってきた。 ある程度は覚悟というか、 準備というか、日々そんな思いを静かに抱えながら しっかり芽生え出している自らの人生の枝先をじっと見つめているのだ。