モニカ・ヴィッティ

モニカ・ヴィッティ 1931-2022映画・俳優

モニカ・ヴィッティ小論法

一時期“ツンデレ”という言葉がもてはやされたが、 ぼくにとっての元祖ツンデレ女優はモニカ・ヴィッティ、その人である。 彼女を思い浮かべるとき、多くの観客はまず、 沈黙の中に立ち尽くす姿を想起するだろうか? 無機質な建築、荒涼とした風景、途切れがちな会話。 その中心で、彼女は何かを語ることも、激しく感情を噴出させることもなく、 ただ世界と噛み合わない感受性として佇んでいる。 それは、ミケランジェロ・アントニオーニ映画におけるヴィッティであり ふたりの巡り合いが生んだ、 20世紀後半の映画史に燦然と刻まれし、最も象徴的な「虚無の女性像」である。

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.48 酷薄的女優論映画・俳優

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.48 酷薄的女優論

ぼくと、ここで取り上げる女優たちとの間には そんな酷薄的な距離がある。 高嶺の花として、それは手は届かぬが、いつも心内にあり、 スクリーンを通してのみ、存在するロマンティックな思いである。 妄想であり、盲信かもしれないし、単なる美化なのかもしれない。 でも、それでいいのだ。 それがいいのだ。 現実には夢はない。 それこそがスクリーンならではの夢であり、 ぼくが描く酷薄的女優論そのものなのである。

赤い砂漠 1965 ミケランジェロ・アントニオーニ映画・俳優

アントニオーニ『赤い砂漠』をめぐって 

モニカ・ヴィッティ演じるジュリアナは 裕福な家庭の人妻だが、精神に病を抱えていて のっけから、子供と連れ立って歩く途中に、 見知らぬ男の食べていたパンを買いとって 草陰で貪り食う、そんなちょっと異様なシーンから始まる。 夫は、交通事故によるノイローゼだと言っているが、 必ずしもそうではないということが次第にわかってゆく。 病院に入院していたのも、どうやら自殺未遂からのことで、 夫との間にも、すでにすれ違いの溝が深く刻まれているのだ。

L'Avventura (1960) Michelangelo Antonioni映画・俳優

モニカ・ヴィッティスタイル『情事』の場合

主演のモニカ・ヴィッティも想像以上に素晴らしい。 我が目に狂い無し。 さすがはアントニオーニのミューズだっただけのことはある。 レネの『二十四時間の情事』の雰囲気を漂わせながら 同じスタッフを兼ねているのが、 サシャ・ヴィエルニーのカメラワーク、 ジョバンニ・フスコのスコア。 どちらも職人気質ゆえの見事さ。 いわゆる傑作と言われるだけの作品に仕上がっている。