マッティ・ペロンパースタイル『ラヴィ・ドゥ・ボエーム』の場合
この映画におけるマッティ・ペロンパーの哀愁こそは カウリスマキ自身のそれと重なるはずだから・・・。 たとえ貧しかろうが、境遇が酷かろうが、 恋人に振り回されようが、決して自暴自棄にならず、 じっと耐え忍びながらも、己れを信じること、 それが唯一の希望なのだ。 ルネ・クレールやジャック・ベッケル 、 それにジャン・ルノワールといった良き時代、 当時の古きフランス映画を意識した銀幕の画面作りに マッティの残像が静かに余韻を残す、しみじみとした良質の映画である。