フランソワ・オゾン『秋が来るとき』をめぐって
秋は何かが実るときであり、同時に消えてゆく季節である 何かが移り変わろうとするには、ちょうどいい頃合いである。 それは、静かに朽ちゆくものの中から、 なおも命を繋ぎ止めながら、 なにかを育くもうとするタイミングというべきかもしれない。 フランソワ・オゾンの新作『秋が来るとき』は、 そんな“生の発酵”のような時間を描いてはいるのだが、 ひとくせふたくせもあるオゾン映画が 平穏に、ただ事で過ぎゆくとは思えない。 とにもかくにも、オゾンは期待を裏切らない。




