ニコラス・ローグ『赤い影』をめぐって
『赤い影』と言うのは邦題ならではのもので、 配給会社がつけたイメージタイトルなのだが 映画の内容からすれば、実に示唆的で、的を射たタイトルともいえる。 この「赤」は、ここでは明確に 血の色(死)に直結しているアイコンそのもので いたるところに散りばめられているからいやがおうにも目を惹く。 溺死した娘も、殺人鬼の小人も、纏っているが真っ赤な洋服であり 兄弟ジョニーの自転車も赤(そういえ帽子も赤)、 霊能者は赤いベストを着ているし、 寝ていた司祭がなにやらふと目を覚まし見つめるのも赤い蝋燭である。 主人公は赤い柄のマフラーを身につけ、その妻は赤いブーツを履き、 葬儀では霊柩船に赤い花が艶やかに飾られているのをみても 明らかに赤という色にメッセージが込められているのだ。