モニカ・ヴィッティ小論法
一時期“ツンデレ”という言葉がもてはやされたが、 ぼくにとっての元祖ツンデレ女優はモニカ・ヴィッティ、その人である。 彼女を思い浮かべるとき、多くの観客はまず、 沈黙の中に立ち尽くす姿を想起するだろうか? 無機質な建築、荒涼とした風景、途切れがちな会話。 その中心で、彼女は何かを語ることも、激しく感情を噴出させることもなく、 ただ世界と噛み合わない感受性として佇んでいる。 それは、ミケランジェロ・アントニオーニ映画におけるヴィッティであり ふたりの巡り合いが生んだ、 20世紀後半の映画史に燦然と刻まれし、最も象徴的な「虚無の女性像」である。


