レオス・カラックス『汚れた血』をめぐって
愛のない性交渉で感染するというSTBOの脅威に晒されるパリに ランボーの『地獄の季節』の詩編からとった二作目、 とりわけ『汚れた血』の印象がカラックス像を決定づけた。 カラックスの分身たるドニ・ラヴァンの風貌、 その存在感は圧倒的に異質なものに映った。 面構えからして只者ではないのだ。 (確か来日時には「笑っていいとも!」にも出演していたっけ) あの注目を浴びたデヴィッド・ボウイの「モダンラブ」をバックに ワンカットで疾走するシーンに、 こちらも青春を重ねて合わせてみた記憶がある。 だれしもあんなふうにまっすぐ思いのまま突っ走りたいのだと。