ジャン=ルイ・トランティニャン

トリコロール/赤の愛 1992 クシシュトフ・キエシロフスキ映画・俳優

キエシロフスキ『トリコロール/赤の愛』をめぐって  

キエシロフスキによるトリコロール三部作 その最終章を飾るのが「赤の愛」。 ここでは一度失った愛の形を取り戻す過程が描き出されている。 その色からも、“博愛”と言うテーマで描かれてはいるのだが、 ラストのサプライズシーンを含め、 遺作として全てを包み込むような集大成の思いが強く感じ取れる。

暗殺の森 1970 ベルナルド・ベルトルッチ映画・俳優

ジャン=ルイ・トランティニャンスタイル『暗殺の森』の場合

原作はモラヴィアの『孤独な青年』だが、 映画も小説も、原題からすれば『順応主義者』と訳されるべきところを ニュアンスに誤差が生じている。 冷静にとらえ直した際には、明らかになるわけだが 本編は『順応主義者たる孤独な青年が、森の中の暗殺に立ち会う』話であり、 ファシズムの終焉とともに、少年期のトラウマによって苦しみ行き着いた、 ファシスト足らんとするその人生の幻想が、無化されてしまうのだ。 つまりは心理的ファシズムからの解放を意味する幕切れである。