サミュエル・フラー

Shock Corridor  1963年 Samuel Fuller映画・俳優

サミュエル・フラー『ショック集団』をめぐって

映画は事件をめぐる人間たちによる群像劇といえるが ショーケンと小柳との夫婦間のいざこざと愛憎をはじめ、 そこに絡むすれてない子供たちとの情感。 (ちなみに、娘役の香織は高橋かおりの子役デビューである!) また、誘拐された家族、秋吉久美子と岡本富士太夫婦と 警察組織の焦燥感の攻防。 冒頭で新聞社の部長丹波哲郎が歌うカラオケ「ダンシングオールナイト」や ショーケンとの昔馴染みという設定の女池波志乃との情事、 あるいはヘリを操作する菅原文太の登場、 若手の記者宅麻伸と恋人役の藤谷美和子の関係性などなど、 それらが果たして必要なシーンだったかどうかはさておくとしても、 救出までのサスペンスには、ノスタルジックな情緒を感じながら もっと肩の力を抜けよ、などとは到底いえないようなリアルな空気感に満ち 追い詰められた人間たちの、切迫感がヒリヒリと感じられる映画だった。

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.37 どこまでも軽ろやかに語りたいB級アラカルト映画特集映画・俳優

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.37 どこまでも軽ろやかに語りたいB級アラカルト映画特集

なかにはカルトオブキングな作品、 つまりその筋では誰もが知る人気カルトもあれば それってそこまでカルトじゃないじゃん、というケースもあるかもしれない。 いずれにせよ、独断と偏見に満ちたB級映画を あまり小難しくならず、できるかぎり、軽やかに語ってみたい。 B九の醍醐味は、理屈では計り知れないのだ。 とはいえ、相手はくせ者だ、ならずものである。 そんな簡単に扱えるような代物じゃない。 えてして、こちらが過剰に反応してしまって、 あることないこと、語り尽くしてしまうことになるかもしれないが そこはひとつ、ご愛敬として勘弁願おう。