ジャン=ピエール・メルヴィル『仁義』をめぐって
メルヴィルの『仁義』が、どうして赤いシリーズなのか? それは原題が『Le Circle Rouge』、直訳すれば「赤い輪」だからである。 単にそれだけのことだが、肝心のその赤い輪とはなんぞや、というと 映画の冒頭のクレジットで、メルヴィルはこう引用する。 「人はそれと知らず再会するとき、各々に何が起ころうが、異なる道を進もうが、赤い輪の中で出会うことが必然である」 これはラーマクリシュナが聞いたブッダの言葉とされている。 ようするに、人は知らず知らずに出会ったとしても 一度運命の輪のなかに入ってしまえば、 その繋がり(縁)からはけして逃れられないのだと。