ニダ・マンズール『ポライト・ソサエティ』をめぐって
ロンドン郊外。 静かな住宅街の一角、パキスタン系ムスリムの家庭に育った少女リアは、 今日もひたすら回し蹴りを練習しているカンフー女子校生である。 座右の銘は「怒りの権化」、目指すはスタントウーマン。 まさに彼女はサードカルチャーキッズ、 つまりは多様な文化、第三文化で育った子供なのだ。 そんな将来の夢を熱く語る彼女の傍らでは、 美しく聡明な姉レナが、それまでのアート志向を捨て 突如として“良縁”とやらに捕まり、ウェディングドレスの試着中。 しかし、相手の実家がなんだか怪しい。 金持ち、イケメン、遺伝学者、しかしマザコンとくる。