ある結婚の風景

リブ・ウルマン 1938ー映画・俳優

リブ・ウルマン小論法

イングマール・ベルイマンの映画を語るとき、 リブ・ウルマンという女優の存在の大きさを避けて通ることはできない。 それは彼女が代表作に数多く出演したからというよりも、 ベルイマン映画の本質そのものが、彼女を通して 初めて可視化される“触媒”に他ならなかったからである。 試しにテレンス・ヤングでチャールズ・ブロンソンと共演し その妻役を演じた『夜の訪問者』などのウルマンとでも見比べてみれば その違いは歴然としている。 彼女は、ハリウッド的女優でも、フランス映画のアイコニックな女優も似合わない。 まさにベルイマンにとって唯一無二なミューズだった。

ジュスティーヌ・トリエ『落下の解剖学』映画・俳優

ジュスティーヌ・トリエ『落下の解剖学』をめぐって

ある日、一人の男が屋根から落ちた。 それは事故か、自殺か、それとも殺人か? 雪に沈んだ身体のまわりで、誰もが真実を求め語り出す。 だが、肝心の真実は沈黙したままだ。 そこに『落下の解剖学』における他者理解の臨界点が見えてくる。 ジュスティーヌ・トリエが描く『落下の解剖学』では、 ひとつの死をめぐる推理劇であると同時に、 理解しえぬ「他者」という迷宮の、果てなき歩行が映し出されてゆく。