伊藤俊也『誘拐報道』をめぐって
だが、昭和の時代には定番というべく、よくあったものだ。 テレビドラマにおいてもしばし登場した定番の“ネタ”である。 誘拐もの、というと、映画では真っ先に黒澤の『天国と地獄』を想起するが 伊藤俊也の『誘拐報道』も濃さじゃ負けてはいない。 実際にあった1980年の宝塚市学童誘拐事件から、 読売新聞大阪支社の社会部のドキュメンタリーを原作に映画化されたが、 「女囚さそり』シリーズで名を馳せた伊藤俊也が 本作に熱を入れ「なんとしても」との思いから企画が実現したという経緯がある。