ベルナルド・ベルトルッチ『ラストタンゴ・イン・パリ』をめぐって
まず『ラストタンゴ・イン・パリ』の強烈なインパクトを、 どうにもこうにも抗えない悪夢のように、 多感な映画的感性の神経の溝をじっとりと湿らせ、 あるいはヒリヒリとした後味でもって刺激されたことを、 いまなお手に取るように覚えている身としては、 こいつをまず肴に、御題目を唱えないわけにはいかない。
まず『ラストタンゴ・イン・パリ』の強烈なインパクトを、 どうにもこうにも抗えない悪夢のように、 多感な映画的感性の神経の溝をじっとりと湿らせ、 あるいはヒリヒリとした後味でもって刺激されたことを、 いまなお手に取るように覚えている身としては、 こいつをまず肴に、御題目を唱えないわけにはいかない。
そんなわけで、春たけなわの今、 個人の趣味的範疇において、エロティシズム漂う映画について考察してみよう、 そんな欲望がにょきっと頭をもたげている。 それは必ずしも、直接的でない表現かもしれないし 言葉に依存したエロというものかもしれない。 単に個人的なエロスの観点がさらされるだけだが ひとついえることは、それらが滲ませるエロティシズムは とても興味深いのものだということだ。 人間の生の営みのなかに存在する官能性を喚起するものである