グッズに名前を入れよう
大量生産、大量消費社会、右を見ても左を見ても、ご覧の通り、似たりよったりのものばかりがあふれかえっている。お手頃価格、機能はもとめても、デザインは二の次というものも多分にあるだろう。結局、それらモノたちを差別化する要素が、ほとんど何もないといっても過言ではないのだ。そこで、せめてもの差別化、個性化をはかるものとしての、名入れがある(もっとも、大量生産物は、その名入れによってさらに強調されるにすぎないと言う、企業側、強者の戦略だが)。ここでは、もっと小さな世界での叫びだ。つまりは、個の意識表明に過ぎない。
小学校にあがり立てのころ、全て自分の名前が書き込まれた持ち物で登校する経験、あれこそは差別化への一歩だったのである。自我を目覚めさすための親としての戦略。名前を与えられ、それを表記する。至ってシンプルな差別化により、子供は単なる子供から、一個の人格を持った子供になるのだ。それと同じ事を、まわりのグッズに施そうというのが、この空想ノヴェルティ工房「イレグー」の基本コンセプトである。
といって、そこに自分の名前を書き込んだとて、所有者意識を顕示するだけで、決してスマートなやり方だとはいえない。せいぜい、これはわたしのものです、というようなストレートな表示は、所詮、自宅の表札ぐらいで十分である。ならばと、こちらでデザインしたものを、明確に表現の発露として、そこにあるモノを借りて、堂々印刷工程を踏んでリメイクしようというのが、空想ノヴェルティ工房「イレグー」の粋なる主張である。
もっとも、こちらにあるものはすべて「架空」のノヴェルティにすぎない。こんなショップや店があれば面白いはずだという妄想にすぎない。暖簾もなければ、店舗もない空間を想像するのはイマジネーションだけだが、LOPYUDESIGNは、はてしなき名入れ道をいくだけだ。それまでありきたりに見えていた代物に命が宿るかのように、名入れによって活き活きしたモノたちに変わる瞬間を見るだろう。
ちなみに、なんでもかんでも名入れするというのはあまりに芸がない。ひとまず、重要があるものを前提に、どこにでもありそうで、それでいて、どこかしゃれていて、少なくとも架空の店への訴求力を、少しでも高めうるものという意識のもとに、グッズイメージを作成した。もちろん、いつの日か、これがメイングッズになるかもしれない、そんな期待と野望をいだかせるノヴェルティたちは、大量生産、大量消費社会に背をむけたひとつの主張と捉えていただいても何の問題はない。
飲食店グッズ
飲食店で見受けられるノヴェルティは、基本的に消耗品である。消耗が早ければはやいほどに、その店の景気に直結し、消耗が少ないということは、すなわち景気の停滞を意味する、といったシビアなバロメータにもなる。飲食店での王道といえば、コースターである。飲み物がメインのバーや、居酒屋においては、その店の顔といっていいほど、受容のあるグッズである。その他、世間では肩身の狭い愛煙家も、まだまだその嗜好へのニーズはなくならない。というのが、ライター、灰皿、マッチといった火の周りグッズ。他にも
紙ナプキン、紙おしぼり、箸袋といったものは、そこそこ名の通ったレストランにおいては、不可欠なノヴェルティである。
- コースター
- その他の飲食店消耗品