サミュエル・ベンシェトリ『アスファルト』をめぐって
フランス郊外の老朽団地(アパートメント)に住む住人たちの群像劇。 オムニバス形式ではなく、それぞれ独立した3つの話で構成されているが うまく時間軸が交差して、ひとつの作品として描かれるその空気感は ずばり、失われた人間たちのふれあいとその「温かみ」である。
フランス郊外の老朽団地(アパートメント)に住む住人たちの群像劇。 オムニバス形式ではなく、それぞれ独立した3つの話で構成されているが うまく時間軸が交差して、ひとつの作品として描かれるその空気感は ずばり、失われた人間たちのふれあいとその「温かみ」である。
マッチで夢から覚める話 タバコ、および喫煙者が隅に追いやられる時代。肩身の狭い思いをしているスモーカーたちには同情するがそれを支えた産業もいよいよ風前の灯、この昨今のマッチ業界の現状を見れば、それもやむなしか。 ライター...
何も起きないパラダイス 何も起きないから退屈ではない。むしろ何も起きないからこそ、生まれる空気というものがある。ぼくたちはそんな日常に生きている。ジム・ジャームッシュの出世作『ストレンジャーザンパラダイス』はまさにそんな...
ハズレなきビート憎しのお笑い道場破り お笑いが好きといってみたものの、ちょっと違うんだけどなって思うことがある。たとえば、オフビートなるものを考えはじめてみると、これが案外奥が深い。オフビートとは、音楽用語というか、リズ...
内観する存在物としてのボウイ デヴィッド・ボウイ。あの巨大な星が視界から消えてブラックスターとなりて、はや6年の歳月が流れている、この事実の前に、この頃なんとなく無頓着になりつつある。というのも、あのボウイが今仮に生きて...
あまりにも近く、あまりにも遠いもの。物理的、あるいは精神的な距離とは逆に、強く心が揺さぶられながら、ひたすら勝手に思い入れ強くして入ってゆくものがある。その世界は一個の巨大な惑星というべき威厳に満ちて、こちらに容赦無く無...
心のチャカに背を向け釈迦の背を追う、あの頃我が師シッダールタよ 先日、実家にもどったとき、ふと昔の本棚を眺めていたら、ヘッセの文庫本が目にとびこんできてそれをひょいと手にとってパラパラ眺めてそのままカバンにいれてもどって...
だざい文体 太宰治の「ヴィヨンの妻」という短編が昔っから好きなのですが、その割には、十代のころの曖昧な記憶しか残っておらず、ふと寂しい思いから、もう一度読み返してみたくなり、借りてこうようと図書館へいったのはいいのですが...
他人の不幸は蜜の味 私は宿命的に放浪者である。私は古里を持たない。 『放浪記』林芙美子 それまで幻想文学や、不条理文学ばかりに傾倒していた自分がリアリズムに根差した林芙美子の小説を読むようになったのは映画『放浪記』をみて...
魂を貫通す、世にも純粋なるモンスターペアレンツストーリー。 人それぞれに人を見極める判断基準というものがあるはずだ。自分の場合は、純度ということになるだろうか。ウソやごまかしそんなものが関係性を結ぶにはひどく邪魔になる。...