ニコラス・ローグ『地球に落ちてきた男』をめぐって
そのなかで、1975年、初めて映画に挑戦の ウォルター・テヴィスのSF小説を実写化版 ニコラス・ローグの『地球に落ちてきた男』では まさに「はまり役」としてその宇宙人キャラを演じた。 ウォルター・デヴィスの原作がボウイのキャラを ふまえて書いたわけではないが、 ニコラス・ローグにかぎらず、この人かいない、 という思いは映画をみれば誰もが納得するだろう。 当人も満足していたのか、
そのなかで、1975年、初めて映画に挑戦の ウォルター・テヴィスのSF小説を実写化版 ニコラス・ローグの『地球に落ちてきた男』では まさに「はまり役」としてその宇宙人キャラを演じた。 ウォルター・デヴィスの原作がボウイのキャラを ふまえて書いたわけではないが、 ニコラス・ローグにかぎらず、この人かいない、 という思いは映画をみれば誰もが納得するだろう。 当人も満足していたのか、
この作品、キャスティングが素晴らしいのだ。 まず、ショーケンと小柳ルミ子この組み合わせがフレッシュに活きたと思う。 いずれも伊藤たっての希望だったという。 ショーケンは、この映画のために10キロも減量して臨み、 まるでドイツ表現主義的な形相で、鬼気迫る誘拐犯を熱演すれば、 小柳ルミ子はここで映画初出演とはいえ、 大胆な汚れ役を厭わず、それまでのイメージを覆すが如く 誘拐犯の妻を、文字通り身を投げうつような覚悟で演じ切った。 以後、彼女のキャリアを前に大きな爪痕を残したといっていい
この『バージンブルース』は こうしたバージンか非バージンかわからないような年頃の、 ちょっと素行のよろしくない女の子たちを主人公に据えた さすらいのロードムービーかと思いきや、 実は、これはたわいもない中年男のロマン、 いってみれば、妄想によって男の哀愁を掻き立てる そんな作品になっているのはざっと紹介した通り。 それを演じる中年男、平田自身が いたって「バージン脳」のダメ男であり、 困ったちゃんと結びついてしまうところが 同じ男としてはなんとも微笑ましいのである。
クロード・ルルーシュの代表作にて名作『男と女』の その続編の続編いわば53年(33年)後の二人の再会ドラマである 『男と女 人生最良の日々』について書いてみよう。 いやあ、言葉にならないなあ、と思う。 余韻が広がり、それにまたため息が出るほどだ。 これを幸福の現象と言わずしてなんと言うべきか。 演技をこえて、二人の人生が映画空間で重ね合わさった 晩年の男と女の再会劇の感動は簡単に言葉では言い尽くせないのだ。
男と女の恋模様、というと、そのタイトルからも この映画に触れぬわけにはいきませんね。 あの大人の恋愛映画の決定版、といえば クロード・ルルーシュの『男と女』について書かぬわけにはいきません。 ピエール・バルー&ニコラ・クロワジーユのあの歌 ダバダバダ、ダバダバダで有名なあれ。 改めて言うまでもない、あの映画のことです。
よって、サーカス、そして祝祭的な人間讃歌がそこにあるのだとして フェリーニ映画を代表する作品、という認識は間違いではない。 人、状況、そして自らの創造性(芸術性)、 こうした映画作りの現実を前に、さんざん困惑し、もがき、苦悩し、 にっちもさっちもいかない袋小路な状況下にまでおいやられながら 結局は、ラストシーンで、出演者が手をつなぎ、 「人生は祭りだ、共に生きよう」と結ぶフェリーニ的映画の帰結の流れが 心の底からフェリーニ的映画人生のイメージに寄り添い、 われわれをいかにも陶酔へと誘い、 これみよがしに包み込んでくれる作品には、感動の言葉こそが似つかわしい。
ここでとりあげる映画『コーヒー&シガレッツ』などは最たるもので 文字通り、登場人物がタバコを吸ってコーヒー(紅茶)を飲みながら、 目の前にいる人物たちと、とりとめのない会話をするだけの映画だ。 退屈さと面白さ、その背中合わせの空気が 手短に11話収められたショートショートのオムニバス作品で、 しかも、十年かけて撮りだめられた作品集、というわけだ。
何も起きないから退屈ではない。 むしろ何も起きないからこそ、生まれる空気というものがある。 ぼくたちはそんな日常に生きている。 ジム・ジャームッシュの出世作『ストレンジャーザンパラダイス』はまさにそんな魅力に満ちている映画だ。
内観する存在物としてのボウイ デヴィッド・ボウイ。あの巨大な星が視界から消えてブラックスターとなりて、はや6年の歳月が流れている、この事実の前に、この頃なんとなく無頓着になりつつある。というのも、あのボウイが今仮に生きて...
すべてのECM音源が自在に拝聴できる素晴らしい時代に ふたたび、この特筆すべきサウンドカラーを 発信しつづける豊穣なライブラリーから 新たな発見をする前に、 自分なりに過去聴いて来たECMレーベルの 少ないコレクションのなかから 自分好みの音を今一度再認識しておく意味でのベスト コレクションをまずここに挙げておきたいと思う。