ロイ・アンダーソン「ホモ・サピエンスの涙」をめぐって
感傷か鑑賞か、悲喜こもごもの人類小咄 マットペイントというものをご存じだろうか?実写と背景画を合成するやりかたで、街並みや周囲の建物等を含んだ背景画そのもののことをいう。よく見れば、あれって絵だね、写真だね、ということは...
感傷か鑑賞か、悲喜こもごもの人類小咄 マットペイントというものをご存じだろうか?実写と背景画を合成するやりかたで、街並みや周囲の建物等を含んだ背景画そのもののことをいう。よく見れば、あれって絵だね、写真だね、ということは...
ロメール映画に出てくる男女関係は たいがいいつもどこかギクシャクしていて そのすれ違いの様を面白く映画にしてしまうのが骨子ではあるが、 この「飛行士の妻」においては、 本命男との不倫が暗礁に乗り上げ 不安定な気持ちを抱えた25歳のOLの 気ままぶりに翻弄される男の滑稽さの根本は つまり「考えすぎ」であり 「思い込み」が元で空回りする、 といった事情がみごとに描き出されている。
オフビートな調子で進むなか、 最後、SFチックな妙味が少し乗っかった哀愁のあるコメディ。 喜劇、とりわけ日本映画で、ちょうどいい具合の すんなり入り込めるコメディなんてのはなかなか出会えなかった。 阪本順治による完全オリジナル作品『団地』は キャスティングの妙も手伝って、 日本にもそういう系譜がちゃんと存在することが何より嬉しかった。 やはり、阪本順治はコメディには貴重な存在だ。
カルトと言っても、おどろおどろしかったり 際物的な表現で誇張されているわけではない。 それゆえに「不思議惑星キン・ザ・ザ」において 「クー」に代表される、実にとぼけていながらも、 不思議な魅力に満ちた雰囲気が 日本でもコアなファン層獲得の一翼を担ったことは想像に難くない。 何ともほっこりとした気分をどう言葉にすればいいかだが、 とりあえず、「クー」といってほほえむだけで その場は和み、気持ちが通じるのがこの映画の面白さだ。
内容からすれば、おしゃれなコメディータッチのロードムービー風 とでも言えるのかもしれないけどね。 やっぱし、これは日本的ではない なんてーのか、インテリジェンス、ウイット、ユーモア ジャンルの型にはめようとすると限界があるんだけど ぼくはそれを「ユロビートムービー」と名付けよう。 オフビートタッチのロードムービー、うん、ま、そんなところ。
フランス郊外の老朽団地(アパートメント)に住む住人たちの群像劇。 オムニバス形式ではなく、それぞれ独立した3つの話で構成されているが うまく時間軸が交差して、ひとつの作品として描かれるその空気感は ずばり、失われた人間たちのふれあいとその「温かみ」である。
マッチで夢から覚める話 タバコ、および喫煙者が隅に追いやられる時代。肩身の狭い思いをしているスモーカーたちには同情するがそれを支えた産業もいよいよ風前の灯、この昨今のマッチ業界の現状を見れば、それもやむなしか。 ライター...
何も起きないパラダイス 何も起きないから退屈ではない。むしろ何も起きないからこそ、生まれる空気というものがある。ぼくたちはそんな日常に生きている。ジム・ジャームッシュの出世作『ストレンジャーザンパラダイス』はまさにそんな...
内観する存在物としてのボウイ デヴィッド・ボウイ。あの巨大な星が視界から消えてブラックスターとなりて、はや6年の歳月が流れている、この事実の前に、この頃なんとなく無頓着になりつつある。というのも、あのボウイが今仮に生きて...
嫌味なく、闇をノワールに覆えるモダニズムとは? 日本人でありながら“directed by”が実に嫌味なく板につく映画人はそういないと思う。まして、一昔前の映画監督を思い浮かべても、どちらかというと、職人肌、昔気質、巨匠...