PAUL DELVAUXアート・デザイン・写真

ポール・デルヴォーという画家

ベルギーの画家といえば、 真っ先にマグリットの絵を浮かべてしまうところだが、 ここにもう一人、ポール・デルヴォーの名を忘れるわけにはいかない。 マグリットがまさにシュルレアリスムの画家と言って差し支えのない、 形而上学的で、無意識下の心理をくすぐる絵だったのに対し、 デルヴォーの場合は、シュルレアリスムの画家と呼ぶに、 どこか躊躇してしまう何かがある。 上品で優美な写実的風景が横たわっており、 シュルレアリスティックな夢の領域だけではどうも収まりが悪いのだ。

「イメージの裏切り」ルネ・マグリットアート・デザイン・写真

ルネ・マグリットという画家

厄介なのは、そのイメージに対し、 全く予期せぬタイトルがつけられて いよいよ我々の理解は言葉では説明がつかず 無防備にさらされてしまい、身動きが取れなくなってゆくことである。 まさにマグリットが繰り返し描いた石化風景に 身を以て埋没してしまうのである。 マグリットはそうしたものの総体をポエジーと呼ぶ。 なんと便利な用語だろうか。 されど、これほど端的なものものなく、 まさにイメージの詩学が展開されるのだ。

タエコの朝食 池田満寿夫アート・デザイン・写真

池田満寿夫という画家

池田満寿夫という人は実に奔放というか 無邪気というか、様々なアーティストからの影響を素直に受け、 どこまでも確信犯的にそのスタイルを取り込んできた。 もっとも影響をうけたのはピカソであろう。 それは初期の版画作品にも如実に表れているが そのほか、ヴォルスやミロ、デクーニングやマチス カンディンスキーにウォーホールといった 豊かな線や色彩の魔術師たちの影響を次々にわがものにしながら ひたすら貪欲に世界を開拓していった人である。

Marcel Duchamp 1887-1968アート・デザイン・写真

マルセル・デュシャンという芸術家

もっとも、ぼくがデュシャンを評価するとき、 現代美術界のスーパースターM・Dではなく、 チェス大好きっ子デュシャンであり、 モナリザにヒゲを書いたりなくしたりして、 面白がっている子供のようなイタズラっ子の姿であり、 なによりも、コトバに対するデュシャンの純粋な興味にそそられる。

大竹伸朗 1955ーアート・デザイン・写真

大竹伸朗という画家

もっとも、大竹伸朗は現代美術の作家という枠に 収まりきれないアーティストだと最初に書いたように その可能性が無限に広がりを見せるアーティストである。 仮に、あたまでっかちな感じでとらえているひとには、 まず、絵本『ジャリおじさん』をおすすめしよう。 子供ならずとも、まずは大人が読むべく絵本なのかも知れない。 「ジャリ ジャリ」という「こんにちは」という挨拶の言葉で始まる。