大島渚『愛の亡霊』をめぐって
むかしむかしあるところに…。愛という名のおばけ語り 先日『愛のコリーダ』を久しぶりに見て定と吉の、度外れた阿呆のような会話(むろん褒め言葉である)を思い出したようにニヤニヤドキドキしている自分が実にまた可笑しいのだ。この...
むかしむかしあるところに…。愛という名のおばけ語り 先日『愛のコリーダ』を久しぶりに見て定と吉の、度外れた阿呆のような会話(むろん褒め言葉である)を思い出したようにニヤニヤドキドキしている自分が実にまた可笑しいのだ。この...
リアルな悪を俯瞰する、あくなき欲望 目には目を、歯には歯を・・・ただでさえ、ギスギスした人の世、復讐、その言葉の意味合いには少々注意深く吟味する必要がある。英語で「リベンジ」などというと、実に軽く、少し曲解されて流通して...
ゲームの落とし前はちゃぶ台返しで いまでこそ「ゆとり教育」だ、「ゆとり世代」だともっともらしい風潮たなびくいい時代にはなっているけれども、かつては学歴偏重主義というものが大々的に掲げられ、やれ受験戦争だ、出世競争だといっ...
『ケダモノ』はただものならぬ映画にこそ映えるもの 川島雄三の映画史におけるポジションの説明は、ちょっと難しい。もっとも、映画をよく知っているものならば、わざわざそこに労力をついやすことはないはずである。必ずしも万人受けす...
切腹、満腹、ご立腹。究極の恨み武士道を斬る いまや医療界を含めた、昨今の政治の無責任さ、この二年近い貴重な時間を奪われ未だその責任の所在なき曖昧模糊たる空気感が支配するこの狂った現代で「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり...
多分にもれず、洗脳されているのには自覚がある。 頭の中で渡哲也が歌う「東京流れ者」がどうにも鳴りやまず、 口からもれなくフレーズが飛び出しては、ご機嫌に浸ってしまう自分がいる。 そりゃあ誰だってそうなりましょうよ? それが鈴木清順『東京流れ者』を見た後の 清順狂のザマよ、ってなもんである。 通常のヤクザ映画のように、肩で風を斬るなんざヤボ中のヤボ。 そんな単純なアホウドリは相手にしないぜ、などと息巻く。 ただただその快楽にひとりごちるわけなのさ、あはは
ハレルヤ。この晴れなき、ぐずぐずメロドラマのまぶしさよ 気が滅入るほどに繰り返される男と女の“ぐずぐず感”に、何度もイライラさせられるし、いい加減にすればと呆れてしまうほどだ。それにも抗えず、奇しくも運命共同体のごとくど...
恋愛に平安なし。地獄の門を潜るのは誰? 日本映画が世界にその威光を放っていた輝かしき時代を思い返そう。黒澤、溝口、小津に今村、そんな大御所の名前の中にこの人の名前をついうっかり忘れてしまう。衣笠貞之助という人。日本映画で...
暦限り、命がけの不遇の不義密通者たちへの鎮魂歌 毎年、職業柄、年末にかけカレンダーの制作に追われる。オリンピックの関係で、祝日が乱れ、このところイレギュラーだった年が続いたが、カレンダー業界に関わるものたちにとっては多少...
善悪の彼岸にて、人間の本質に懐疑が踊る、これが証文 昔から、宗教や道徳を通して叫ばれるところの天国と地獄の価値観は、いいことをすれば天国へ悪いことをすれば地獄へ落ちるいわば単純明快な二元論である。いつの時代も繰り返し描か...