メタフィクション

8 1/2 1963 フェデリコ・フェリーニ映画・俳優

フェデリコ・フェリーニ『8½』をめぐって

よって、サーカス、そして祝祭的な人間讃歌がそこにあるのだとして フェリーニ映画を代表する作品、という認識は間違いではない。 人、状況、そして自らの創造性(芸術性)、 こうした映画作りの現実を前に、さんざん困惑し、もがき、苦悩し、 にっちもさっちもいかない袋小路な状況下にまでおいやられながら 結局は、ラストシーンで、出演者が手をつなぎ、 「人生は祭りだ、共に生きよう」と結ぶフェリーニ的映画の帰結の流れが 心の底からフェリーニ的映画人生のイメージに寄り添い、 われわれをいかにも陶酔へと誘い、 これみよがしに包み込んでくれる作品には、感動の言葉こそが似つかわしい。

ヨーロッパ横断特急 1970 アラン・ロブ=グリエ文学・作家・本

アラン・ロブ=グリエ『ヨーロッパ横断特急』をめぐって

仏ヌーヴォーロマンの旗手、アラン・ロブ=グリエによる メタフィクション映画の傑作『ヨーロッパ横断特急』。 どこかフィルムノワール風、どこかサスペンスを漂わせるが ロブ=グリエのメタフィクションは、もとより筋に重きがあるわけじゃない。 あたかも映画に遊ばれているような感じに陥って そこがわかっていないと映像の世迷い人になってしまう感じだ。 騙されることなかれ。