空想ノヴェルティ工房「イレグー」

世に言う販促物、ノヴェルティの類いが五万とあふれかえっているわけだが、その訴求効果に至っては千差万別であろう。要は、人が食いつくか食いつかないか。まるで大海原で釣り糸を垂らして、獲物が食いつかどうかを待つ釣り人のようなものである。デザイン性がそのまま大衆の心をくすぐるものが、果たしてどこまで訴求力に影響を与えるものかは、なんともいえないのだが、知名度の薄い企業や店舗の名前だけで、人が集まったり動くほど世の中は甘くはない。その反面、泣く子も黙るネームヴァリューによって、無意識のうちに、大衆の波に乗せられてしまうようなものもあるから、そこには、いかんともしがたい力学が働いていることはどうやら間違いないのである。

では、それを各商品という立場にたってみると、これはやはり、もらってうれしい、うれしくない、というような単純な消費者目線の琴線に触れてくるものというものもあって、ずばり、そこが市場の最前線でやりとりされている。だからこそ、ちょっと有名で、テレビなんかでおなじみの顔が広告塔として手招きをするだけで、人の流れなどは簡単に操作されてしまうのである。これが広告の力である。がしかし、そんな世界とは無縁で、ひたすら己を信じ、己の店舗に愛情を注いで、一つ一つ丁寧に店の風情を整えてゆく販促品は見ていて楽しい。一昔前なら、喫茶店に置いてあるマッチ、あるいはほぼあらゆる飲食店にあるコースターといったものを並べてみるだけでワクワクするものだ。