ポランスキー『ローズマリーの赤ちゃん』をめぐって
そんな中で、『ローズマリーの赤ちゃん』は ホラー映画の古典的傑作として名高いのは言うまでもないが なんでもない日常からふと悪の手が伸びてくる恐怖を マタニティーブルーにつけこんで、悪魔崇拝といったオカルトテーマを 見事に結びつけた作品に仕上がっている。
そんな中で、『ローズマリーの赤ちゃん』は ホラー映画の古典的傑作として名高いのは言うまでもないが なんでもない日常からふと悪の手が伸びてくる恐怖を マタニティーブルーにつけこんで、悪魔崇拝といったオカルトテーマを 見事に結びつけた作品に仕上がっている。
これから書いてゆく怪談話で 果たして昨今のホラーテーストに毒された層が盛り上がるかどうかまで自信はない。 いや、むしろ、その趣きに戸惑うことになるかもしれない。 どちらかといえば、アート色が色濃く 古典落語などが好きな人向きの話である。 小林正樹による映画『怪談』は、ラフカディオ・ハーンこと小泉八雲の怪談話を オムニバス形式で取り上げた1965年度の作品で 誰もが楽しめるようなエンターテイメントではなく むしろ、格調高き、骨董のような深みのある映画になっている。 海外では、国内以上に評価の高い作品であり、 キャストの方も、当時の豪華絢爛たる俳優陣の熱演ぶりで 当然のことながら作品に箔を付けているほど出来がいい。 その上に、作品を支えるスタッフの充実ぶりが目を引く。
その役は朽木屋敷に棲まう死霊であり、 話のなかで、そこだけしか登場しないにもかかわらず その存在感たるや、かなりインパクトの強い役柄である。 能面のようなメイクと艶やかなで陰影ある魔性の女。 相手が森雅之演じる陶工源十郎で 命からがら屋敷から逃げ帰るシーンが圧巻だ。 藤十郎が過ちを悔い、家に帰らせて欲しいと懇願するところへ、 老女と姫が狼狽し、クライマックスを迎える。 織田信長に滅ぼされた朽木屋敷の若い姫君の 哀しい思いを背負いながら、無念とともに消え去っていく情念。 老女毛利菊枝とのコンビにおける怨讐の恐ろしさは 昨今のホラーにはない、独自のムード、美意識を漂わせている。 まさに魔に憑かれた男の無常感がそこはかとなく漂う中 奇気たるまぐわいの宴の余韻が残る
いやはや、知覚の恐怖に費やす言葉はかように、 いかようにも豊富にあふれていて目が離せないのだが、 この恐ろしい映画の主役ジャック・ニコルソンが、 最初から最後まで、ひたすら、何か恐ろしいものに突き動かされ いわばあらゆる憎しみと怨念を背負った格好で、 妻や子をオノ片手に追い回す、 いわば狂気の沙汰を十二分に見せつけられているうちに、 単に映画は狂人譚の様相に支配されてゆく。 だが、『シャイニング』というのは、元は息子ダニーや特殊な能力のことであり、 その出所は、ジョンレノンによる「Instant Karma!」と言う曲の一説にある 「Well we all shine on Like the moon and the stars and the sun」 からだと原作者スティーブン・キング自身が語っている。
昔から怪談話といやあ夏の風物詩、と相場は決まってはいるのだが じゃあ、幽霊ってのは冬になればなったで冬眠する、 なんて話は一度だって聞いたことがないし、 ゾッとすると言う意味ではむしろ、真冬に聞く怪談ほど 臨場感というかなんというか、そそるものもあるまい。 凍えんばかりにガタガタ身を震わせ、血の気が引くなんてのは これがホントのゾッとする話と言わずしてなんであろうか? そんなくだらない話の枕はこのくらいにしておくとして、 『ろぐでなし』プログラムVOL3.では、一つホラー映画についての特集を 組んでみようと言うわけである。
そんな「サイコ」ときけば、まずヒッチコックの『サイコ』に触れぬわけはいかないだろう。 ある意味、今から60年も前に、サイコという言葉が 社会通念として一人歩きし始めたのだ。 半世紀も前のものだが、元祖サイコスリラーの傑作は今をもってしても色あせてはいない。
秋が好きだ、秋はいい、素晴らしいなどとまるで三流詩人にも値しない凡日常人的言葉を適当にならべているのだが、秋という季節は内省的人間にはすこぶる刺激的というか、ロマンチックな季節であることは間違いなくそれゆえ無様に乙女チッ...
飯もうまい。酒もうまい。眠りも深い。体調もいい。秋っていいな。 とりわけこの日本の秋はスンバラシイとおもふ・・・余裕があれば旅にでも出かけてのんびり情緒でも楽しみたいところでありますがそうは問屋が卸しませぬ。 それはそれ...
いやあこのところずっと映画ばかりみていたものでちょっと肩が凝りまして、っていうのはでまかせで、いくらでも映画に浸かっていたい気分ではありますが、映画を観て、記事をアウトプットするのはそれなりに労力がいるものです、はい。そ...
1953年に『消しゴム』でデビューして以来 『覗く人』『嫉妬』など次々と文学的問題作を発表してきた作家ではあるが、 幸い、ロブ=グリエという人は生涯9本の映画を撮っており、 アラン・レネの『去年マリエンバートで』の脚本をも手がけているぐらいだから 映画というジャンルにも並並ならぬ意欲を示してきた作家と言える。 実はその作品の一つ『快楽の漸進的横滑り』について 何か書けるかというところから 長々と前振りを書いてきたのである。